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特別寄稿「エクサドンの可能性」
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長
遠藤 英俊 様
認知症予防の第一歩は生活習慣病の予防であるが、有酸素運動の有用性が多くの論文によって示されている。私達の研究センターで開発した「コグニサイズ(※)」は有酸素運動と知的活動を組み合わせた複合型の運動であり、MCI(軽度認知障害)を対象に二重盲検試験を行ったところ、一部の認知機能の改善がみられた。
さて「エクサドン」は新潟県佐渡市において、森本医師の発案で開発され、鼓童の指導により行われている認知症予防の取り組みの一つである。実際参加してみると、太鼓をたたくという行為は有酸素運動であり、音楽療法の要素もふくんでいることが理解できた。さらに「やまびこゲーム」はリーダーの太鼓にあわせて、太鼓をたたくわけだが、これがなかなか難しい。すなわち楽しく頭をつかうことになり、認知症予防には相当期待できる。今後は地域での取り組みの体制づくりとデータ取集が課題である、エクサドンは鼓童の支援が欠かせないが、高齢者の笑顔をもたらし、認知症の発症を少しでも遅らせる可能性がある。将来期待される佐渡での活動である。
(※)コグニサイズとは
国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組み。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
長寿医療研修センター長
遠藤 英俊 様
滋賀医科大学卒業、名古屋大学医学部大学院修了。米国国立老化研究所客員研究員、国立療養所中部病院内科医長などを経て、現在に至る。著書に『か かりつけ医のための認知症マニュアル』(社会保険研究所)など多数。
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